それに、食べさせたい人なんて

 家族か、好きな人でしょう?



 むくわれない気しかしないな……。



「……」




 どうやって断ろうか

 頭を巡らせていると



 ガシッと、わたしの手を握った

 加藤部長の顔が、目の前にあった。



「俺、加藤圭吾と言います」



 し、知っています。

 しかも、無茶苦茶目立ってます。



「俺に料理を教えてください!」



 い?

 わたしの一番の短所は『押しに弱い』だ。



 こんな大勢の前で

 こんな大声で、言われたらもう。



 な、泣きそう……。



 メンタル弱いわたしに出来る返事は

 一択しかない。



「……は、い」









 こうして、今

 わたしは、何故か彼の言われるまま



 料理教室から直行でスーパーに行き

 彼の一軒家のお家で

 ハンバーグの作り方を

 一緒に作りながら教えている。