「あの……、もう少し、猫手にしないと、指切りますよ?」




 一応、班の役割分担を終えて

 近くの女の子に声をかけ

 野菜と格闘している男の人に声をかけた。



 きょとんと、顔を上げたその人は

 ヘアスタイルが休日仕様なのか

 ふわふわサラサラで

 いつものセットと違うから

 気付くことが出来なかったけれど……。



 か、加藤企画部部長、だよね?



 や、ヤバい

 何が悲しくて休日に

 会社の人に会わなくてはいけないの?




「……」




 困ったな……。



 きょとんとわたしを見ていた加藤部長は

 特に気付いていないようなリアクション



 よかった、幸い向こうは

 わたしの事知らないみたいだから

 軽く注意を促したら

 元の班に戻って

 楽しくみんなとご飯を食べよう。



 と、思った矢先……。




「ありがとう、教えてくれるの?」




 今まで、見せた事のない

 人懐っこい笑顔でわたしを見るから

 不覚にもドキッとしてしまった。