「男ってほんとしょうもない生き物よ。ねえ、結衣そう思わない?」と隣から大きなため息を漏らしながら梨恵が私に共感を求めてくる。
大学1年の時に同じ授業で知り合ってから梨恵とはもう4年の仲になる。大学4年ということもありもう取る授業もほとんどないので会う機会がないが、こうしてよく都内でいわゆるオシャカフェと言われるような場所で甘いもの食べながら近況報告をする。
長い黒髪を揺らしながらその後ろ姿からは想像できないような可愛らしい笑顔が私はとても好きだ。
「そうだね。でもあの人はきっとそうではないと思うよ。」
あの人。梨恵の想い人。
好きでなくても女の人と関係を持てる、関係を持っただけで恋愛には感情移入しない冷酷な男だなんとかと梨恵はブツブツ言っている。
それでも私はあの人をかばう。なぜなら梨恵はきっと私に共感を求めているわけでもなく、ただあの人と梨恵はそういう関係ではない、あの人は梨恵を大切に思ってるという言葉が聞きたいだけだから。
私が梨恵に本音を言えないのは梨恵の気持ちが痛いほどに分かるからだ。