…遅くなっちゃった。瀬戸くんどこにいるのかな…
あっ、いた!
『瀬戸く…』
「はい、今日は大丈夫です。はい、失礼します」
電話?誰となんだろう?
『瀬戸くん!』
『あ、花瀬。どこいってたんだよ』
『ごめんね、ジュース買いに行ってた!』
『いいのに…ありがとな』
『ううん、瀬戸くんはチケット買ってくれたしお互い様だよ!』
『はは、うん。そうだな』
『うん!』
良かった。さっき電話していた時の瀬戸くんは
なぜかつらそうな顔をしていたから…
今こうやって笑ってくれてわたしは嬉しいよ。
『さ、もうそろ時間だし会場行くか』
『うん!』
映画楽しみだなぁぁ!!

[あなた、行かないで!わたしを置いていかないで!]
今ちょうど名場面のシーン真っ最中。
『ううぅ…ぐすっ』
『泣くほどか!?』
『だって。だってぇー…ぐすっ』
『あー、泣くなよもう』
『瀬戸くんは感動しないの?』
『あぁ、なんか自分と似てる気がして泣けない…なんてな』
『冗談やめてよー』
『はは、わりぃ』
冗談だよね?瀬戸くん、さっき真顔で言っていたのは見間違いだよね。この映画のシーン見たいにいなくならないよね?

『泣き止んだか?』
『うん!お陰様で』
『花瀬って意外に泣き虫なんだなっ』
『むー、泣き虫じゃないもん』
ひどいなぁもう。
『はは、ホントか?』
『なんで笑うの!ホントだよっ』
『はは。なぁ花瀬』
『ん?』
『もし、俺が花瀬のそばから消えたらどうする?』
え…っ
『なに、それ』
『例え話だよ。』
『嘘でもそんなこと言わないで…』
『ごめん。』
『うん』
冗談じゃないの?映画館で言っていたのと
同じ内容。ホントに消えちゃうの?
『なぁ、花瀬』
『な、なに!?』
あ、思わず大きな声出ちゃった。