「おはようございます、ようさん」

「わぁ、久しぶり。随分大人っぽくなったね。」

「それはお互い様ですよ。」

春人くんと最後に会ったのはもう二年ほど前になる。

背は僕より高くなり、顔立ちも風貌も、なんとなく僕より大人っぽい。

この日は彼と二人で僕の運転する車で彼女の墓参りをし、僕おすすめのカフェでランチをし、

帰りに夜景を見て帰った。

恋人の弟と二人で夜景を見るなんて、少し、変な感じがした。

彼はひなたが亡くなってから、僕と同じでしばらく引きこもっていたようだ。

「後悔ばっかりが残って、謝りたいことも、怒りたいことも、感謝したいことも沢山あります」

その気持ちは、よく分かる。
時間がないことは理解していたのに、その時間を十分に使えてたとは、僕も彼も思っていない。

彼はけど、と言葉を続けた。

「いちばん伝えたかったのは、俺はお姉ちゃんみたいになりたかったんだよ、ってことです」

彼は遠くの夜景から僕へ目線を移し、少し儚げに笑った。

この笑顔が、どっかの誰かさんにそっくりだ。