しかもタイミングが最悪で、その日はうちの高校の修学旅行の四日前の日だったのだ。

もちろん行けるどころか、みんなが修学旅行を満喫している間

僕は病院の個室でひとり、虚しく眠りこけていたのだ。

高校生の醍醐味イベントを逃した上、二ヶ月分の授業日数があまりにも少ない為、

夏休みの初めの七日間は補習に行かなくてはならなくなった。

今日はその初日で、午前中は学校へ行き、家に帰ってきてからはすぐに眠ってしまったようだ。

手に持っているスマートフォンが小刻みに揺れ、鈴のような通知音がなる。

母からのメッセージで、
『夜ご飯はテーブルの上にあるからチンして食べてね。』と表記されている。
父が幼い頃家を出ていって以来、僕と母はずっと小さなアパートで二人暮しをしていて、母は午後から夜中まで帰宅しなかった。