ショッピングモールの中央にとても輝くように飾られた大きなもみの木。

高さは天井に届きそうなほどだから、相当だ。

彼女を待っている間、僕はその木を見て、その大きさと凄さに圧倒されたまま眺めていた。

その日はとても寒く、耳が取れそうになるんじゃないかってくらいだった。

ひなたとデートでみなとみらいへイルミネーションを見に行く予定だ。

彼女との待ち合わせで、今日はいつもと違って三十分も早くついた。

待ってる間にカフェラテをひとつ買って、彼女が来るのをそわそわしながら待った。

待ち合わせの十分前になって、ムートンコートを着て、器用に巻かれた黒髪の彼女が、

僕を見つけるなり「よう!」と叫んで走ってきた。

いつもどんな時でも、何度でも僕は彼女に思う。

「綺麗だね」


ひなたは冬の寒さもあってか頬を真っ赤にしながらありがとう、とはにかんだ。

いつものように手を握るとひなたの手は氷のように冷たく、冷え性なの!と笑ったひなたは、

そんな冬に似合わずとても暖かかった。