小六になってすぐ、クラスメイトの山本千夏子さんに恋をした。

僕は周りの男子より大人しく、何を考えているのかわからない、と言われ友達がいなかった。

本当は友達を作って外でサッカーをしたりドッジボールで遊んだりしたかったが、

声をかける勇気すら出ず、することも無いのでずっと教室で一人勉強をしていた。


「何してるの?」

顔を上げると山本さんが立っていた。
顔を下げてから、僕は冷めた声で
「勉強」と答えると、山本さんは、

「えー!休み時間に勉強なんかするの!すごいね!」といって褒めてきた。

「勉強の邪魔だからあっち行けよ」と追い払っても、山本さんは「じゃあ私も勉強する」と言って、
僕の机で勉強しだした。

初めは鬱陶しいと思ったし、僕の苦手なタイプだった。

だが、何日も何日も話しかけてきて、次第に感情も変わっていった。