思わず黙ってしまった。
図星。
だけど、そんなの私からすると
鈴木はプライドが無さすぎるんだよ…
「第1志望はなんて書いたの?」
キラキラした目の鈴木に嘘の答えで逃げることは
出来なくて、鈴木に対して格好つけるのも馬鹿らしくなった。
だからつい、恥ずかしくて第1志望の欄に書けずに、第5志望の欄に書いた本当に行きたい大学名を口を滑らせて言ってしまった。
しまった。
こんなこと恥ずかしいから言うんじゃなかった。
友達に本当の第一志望の大学を言うと
「結衣って賢かったっけ?」
そう言われたことを思い出してしまった。
思い出した時にはすでに遅し。
必死で取り繕おうと口を開こうとした。
だけれど、鈴木は真剣に聞いていて。
思わず開きかけた口を閉じた。
「良い大学だよな俺もそこ志望なんだ、佐藤も一緒に行こうな」
そんな風に意外にも私のことをすんなりと認めてくれて、一緒に行こうって言ってくれた。
たったそれだけなのに、
その一言が私を本気に変えた。
プライドと自己嫌悪でもつれて絡まって、
私は本当に何がしたいのか分からなくなっていた。
私を、たった一言で変えてしまった鈴木。