それでも、壁を乗り越えてみようと試みたり、思い切って壁に背を向けて歩き出したりできないのが僕の弱い所なんだって、一番わかってるのに。



「お前さ、そろそろ、俺離れすれば?」



なんて、諦める切っ掛けや、離れる切っ掛けを君に任せるなんて、本当に僕はずるい。


君は少し考えてから、



「じゃぁ、あんたも彼女でも作れば?」



なんて、僕が君に言われたくない言葉ランキングの上位にランクインしている言葉を冗談ぽく、放つ。



僕の気持ちはさておき、この葛藤や苦悩に君が気づいているとは到底思えない。


それは、僕にとって安心すべき事実のはずなのに、反面、僕を苛立たせる。




「お前がいるから、女も寄りつかないんだよ!」



なんて、思わず、僕は声を荒げてしまった。