「聞いてるよ。っていうか、聞き飽きたよ。」
僕は、ため息混じりに答えた。
「なにそれ~。」
「だって、それ、殆ど惚気だろ?」
もう、聞きたくないんだよ!
と、続けたい所をグッと飲み込んでから顔を背ける。
「だって、こんな事、話せるのあんたしかいないんだもん!」
僕の横顔に彼女の弾んだ声がかかる。
「女友達に話せよ。」
「だって、まともに聞いてくれないんだもん。すぐ自分の話になるし…」
「じゃあ、彼氏に直接言えば?」
「えー、言えないよぉ。」
こんなやりとりは、本当にイライラしてしまう。
君は、本当に僕の気持に気付いていないのか?
それとも、気付いているからこそ、こんな話を毎日僕にするのか…
時々、自信がなくなる…
二人の間にある壁が、異様な高さで僕らを隔てている感覚にそれは似ていた。