ガキィイイイインッ! ドゴッ! 
 ガラン、ガラァンッ!!


 さっきまで自分が立っていた所からもの凄い衝撃音が聞こえた。
 鉄骨がアスファルトを穿ち、地面が抉れている。
 いきなりの猛ダッシュで足がもつれて派手に転んだ。
 受身が上手かったのか、怪我はしていないが肩や膝が痛い。
 痣になるかもしれないな……と思いながら立ち上がると、再び誰かが叫んだ。

『逃げろッー!! クレーンが! クレーン車が倒れるぞッ!!』

 その声でアタシは咄嗟に後ず去った。
 思えば、その行動がいけなかった。
 ふわりと今まで感じたことのない浮遊感、そして下に引っ張られるような感覚。

「ふぇ?」

 気づいた時には何もかもが手遅れだった。
 蓋の外れたマンホールが足元に黒い空間を作っていた。何の迷いもなくアタシの体はそこに吸い込まれるように落下。
 おいおい、誰だよ。こんな時にマンホールの蓋外したの。
 世界的に有名なあの某配管工じゃないんだから。
 土管に落ちたら、そこは大量のコインが貰えるボーナスステージでした~ってか?
 いや、確かに現金なくて困ってはいたけど……。