面接から二週間が経ち、お好み焼き屋の研修が始まった。

緊張に震えながら店ののれんをくぐると、そこには高校時代の友人、公代がいた。

「あ」

二人して声を出す。

「ウッソー偶然! ミサもこのバイトなの?!」

「公代こそ! ああびっくりしたぁ! でも良かった~!!」

私たちは手を取り合い、再会を喜んだ。

高校以来メアド変更の連絡くらいしかしていなかった仲だが、こうして自然に当時の仲に戻れるのは、私にとってとても大きなことだった。

「知り合い?」

店の奥から声がして、あの人が顔を出した。

ティーシャツにジーパンというラフな格好をした、杉本店長。

「お、おはようございます!」

いきなりの登場に、声が上ずる。茶色の髪は今日もピシッときまっていて、私の胸は一気に高鳴った。

「おはよ。荷物置いたらこっち来て。書いてもらわなきゃいけない書類とかあるから」

店長はそう言って手招きし、私たちは事務所となるであろう場所に連れて行かれた。