「ユースケが良いやつだってことは知ってたけど、そっかぁミサには辛い存在かぁ」

「確かに、あんまり良い人が隣にいると嫌だよね」

「嫌って?」

「自分の気の遣えなさが押し出されるっていうか」

「ふぅん?」

高校のときから仲の良かったユースケに会いたい、と二人が言ったから、当時は何度も四人で遊んだ。

ユースケに対して僅かな独占欲を持っていた私は、彼が二人のどちらかに惚れてしまわないかハラハラしたものだ。

だって、二人はスタイル抜群、お目目パッチリ、厚みのある唇は独特の色気を醸し出していて……細いだけの私には、二人になにも敵うものがなかった。

そこまで思って、自分はどこまで汚れているんだ、と考えた。

友達に敵うとか、敵わないとか、そんなことを考えるものではないのに。

「ミサ。あんたがどんな決断しようと、あたしらはあんたの見方だから」

俯く私の顔を覗き込んで、伊織がそう言った。

「そうそう。嫌だと思ったら別れちゃえ。相手のことなんか考えちゃダメだよ。じゃないと、幸せになれないんだから」

私は顔を上げて、二人を見た。

二人とも笑っている。

二人にとっても、ユースケは友達のはずなのに。

その友達についてこんなふうに言うのは、二人が私のことを一番に考えてくれているから。

私は、うん、とも、ううん、とも言えずに、ただ微笑んだ。

大好きだよ、二人とも。