女の子はそう言うなり、私の手を取って、芝生の方へ向かおうとする


「あっ、ちょっと待って、私……」


私の話を聞く耳をもつ様子はなく、女の子は手を引いて歩き出す



「あれ?雪乃さん?!………って、おま、何してんの?」


女の子はすぐに私の手を離した

私はそのまま後ろから来た奏多くんの方に手を引き寄せられて、
後ろから抱きとめられる


「何って、お客さんが迷ってたから案内しようと思ってただけだよ」


「案内って……
俺には、お前が強引に雪乃さんを引っ張ってるように見えたよ」

いつもの優しい目と違って、冷たい目を奏多くんはしている


女の子は何も言い返すこともなく、その場を走り去っていった