カリカリ… 2人しかいない教室に響くシャーペンの音。 せんせぇの教えかたは、言う通り、“分かりやすく、簡潔”だった。 そのおかげで、なんとか、数学がわかってきた。 「せんせぇ、さすがだよ」 「そうかぁ? 別に、普通だよ」 「ううん。数学のせんせぇって感じ」 せんせぇは、照れ笑いした。その顔がすっごくかわいくて胸がキューッとした。