「「……」」
電車に乗って数分。
私たちは気まずい雰囲気に包まれていた。
発端はもちろん、電車に乗ったこと。
今度の電車は端的に言うと、混んでいた。
さっきは席はなかったものの、立つ人が少なかったから、普通に立っていられたけど……。
みんな花火大会に行くのだろう、とても混んでいて満員電車だった。
普段学校へ行く時はこんなに混んでないのに……っ。
浴衣だから人に押されると引き締まった帯が更にキツく感じて苦しくなる。
『日和、ちょっとおいで』
悠真くんはそんな私をドア側に誘導して、人から押されないように守ってくれて現在に至るんだけど。
ちょっとどころの気まずさではない。