ふと、電光掲示板を目にしてしばらく眺めていると、やがて『次は S駅』と表示された。
ん? S駅……?
なんか聞かない名前だな、確か学校方面に行かないといけないんじゃなかった?
うん、ちゃんと調べたもん。行き方も一通りだったはずだし。
色々なことが頭の中に浮かんで、私はあることに気づいた。
……これ、反対方向に乗っちゃった?
そうだとしたら急いで降りないと!
あっという間に駅のホームが見えて、ドアが開かれると私は悠真くんの手を引きながら降りた。
「……悠真くん!」
「うん、どうしたの?」
「反対方向です!」
何も言わずに突然降りて、さらには反対方向だと告げたから、悠真くんの脳はパンク中。
悠真くんは目をパチパチして、ほどなく頭が整頓しました、というような表情を浮かべた。