俺は、自分の下駄箱に近づくと、靴を上履きを履き替えようとした。
 

『やったー!ありがとう!』
 

突然、昨日向日葵が喜んでいた姿が、頭の中に浮かんだ。
 

あの時、向日葵は本気で喜んでいてくれたんだろうか?
 

俺は、靴を履き替えようとした手を止めて、静かに息を吐いた。
 

行こう。 
 

別に、感情を入れてもらうんじゃない。ただ、会いに行くだけだ。
 

俺は、持っていた靴を下駄箱に戻すと、そのまま階段を駆け上がった。
 

自分の教室を通り過ぎて、音楽室まで走っていく。
 

すると、なにやらまた音楽が聞こえた。
 

フレデリック・ショパン作曲。ポロネーズ第6番変イ長調 作品53 通称『英雄ポロネーズ』
 
祖国・ポーランドを守るために、戦争に向かう兵士たちに捧げた曲。
 

心が軽やかになるような、愉しげな音だ。


頑張ってください、応援してますよ、とまるでこの音自身が言ってるみたいだ。