俺は、心の中にあった黒い何かを、吐き出すように呟いた。
 

「いいって…。空川、悪魔呼ばわりされたんだよ。いいわけないじゃない」
 


「いいんだ。俺…悪魔なんだよ。悪魔のピアニストなんだよ!だから、誰も俺の曲なんか聞いてくれないし、人を不快な思いにしかできないんだよ!」
 

もう自分でも何を言ってるのか分からなかった。

もう何も考えられない。次から次へと、何かが爆発したように、勝手に言葉が出てくる。
 

「もういいんだ!俺は、悪魔の曲しか奏でられないんだよ!そう思われて、当然、なんだ…」
 

俺は頭を抱えると、崩れるようにその場にしゃがみ込んでしまった。
 

ダメだ。もう、なにも考えられない。考えたくもない。
 

考えれば考えるほど、悪い方に転がっていく。どんどん、深い穴に落ちていく。
 

もしかしたら、俺は本当に悪魔なのかもしれない。ふと、そう思った。