「いやいや!俺だってこんな質問したくなかったけど、あいつらが質問して来いって言うから…」
黒西の剣幕に、男の子は慌ててそんなことを言うと、後ろで俺たちを見ていた二人の男女を指さした。
すると、その二人の男女も、慌てて首を横に振って、俺たちに近づいてきくる。
「べ、別に悪気があって聞いたわけじゃねえよ!」
「そ、そうよ!ごめん、空川君を不快な思いにさせちゃったんだったら、謝るから」
あまりにも媚を売った、三人の態度に、俺は怒りを通り越して、ショックを受けてしまった。
「あのね、だからって言い方とか考えなかったの?空川のピアノだって、普通に良かったし。あんたたちには、あの曲の難易度とか分からないだろうけど、すっごいレベルの高い曲で…」
黒西が、それでも容赦なく、必死に言い返してくれてる。
でも俺は、手をぎゅっと握ると、顔を下に向けて唇を噛んだ。
「…いいよ、黒西」