黒西の力強い瞳からは、とても嘘をついているとは思えない。でも、だとしたら、黒西は本当に…。 
 

「あの、ちょっと質問があるんですけど…」
 

さっき、俺を見て話していたグループの男の子が、俺に近づいてきた。
 

「な、なんですか?」
 

同じクラスメイトなのに、なぜかお互いに敬語を使ってしまう。
 

でも、すぐに後悔した。

なんで、こんな考えもしないで、気安くこの子に応答してしまったのか。
 





「…三時間目の時、悪魔に憑りつかれたみたいにピアノを弾いてましたけど、いつもあんな風に弾いてるんですか?」






あく、ま?
 


「ちょ、ちょっと、なんてこと言うのよ!」
 

一瞬の間が空いたと思ったら、黒西が男の子に詰め寄ってくれた。
 

でも、俺はただただポカンと突っ立ってることしかできない。
 

悪魔?俺、そんな風に弾いてたのか?
 

しかも、この子にも分かるくらいに、乱暴な弾き方をしてたって事なの、か…?