その途端、伊藤が俺の肩を掴んで、ものすごい勢いで揺らし始めた。
 

「だーかーらー、どうしたらそんな風に女の子と仲良くなれるかって聞いてんの!」
 
「い、いや、とくに特別なことをしたわけじゃ…」
 
「嘘つけ!お前だけ抜け駆けしようとしたって、そうはさせないからな!」
 

そこで伊藤の言いたいことがはっきりと分かり、俺は安堵から肩の力を抜いてしまった。
 

この二日間で、伊藤は限りなく空気の読めない奴だと分かったが、それと同時に、今の俺にとっては、そんな伊藤の存在が大変ありがたいことにも気づく。
 

すると、黒西はくすっと笑って、伊藤を指さした。
 

「そろそろ気づきなって、和仁。あんたはさ、友達としてはやっていけるけど、彼氏としては一番ダメなタイプなんだよ」
 

「なんだよ、それー。じゃあ、なんだよ。俺、お前にとっても、やりにくいタイプなわけ?」