女の子は、パチンと手を合わせて、頭を下げる。
 

彼女の焦げ茶色の髪の毛が、窓から差し込んでくる太陽に照らされ、キラキラと光っている。
 

なぜ?なぜそこまでして、彼女は人の事で一生懸命になれるんだろう?
 

出会って一時間くらいしかたってないはずの俺に、そこまでこだわる必要は、彼女にはないはずなのに。
 

彼女は純粋に、俺のピアノの音色を変えたいと思ってるんだろうか。
 

俺は静かにため息をついた。
 

「…知らないよ。どうなっても」
 

思わず、そう言ってしまった。
 

女の子は顔を上げると、目を大きくあけて笑い、腕を上にあげた。
 

「やったー!ありがとう!」
 

本気で喜んでるみたいだ。女の子の無邪気な性格に、心も許せてくる。
 

「あ、そうだ。まだ、君の名前聞いてなかったね。なんていうの?」
 
「空川日向」