「もう友達なんか作るのをやめよう。そう決めたときに、唯一出来た友達が、君でよかった…」
向日葵は笑った。でも、声は涙声で、向日葵の瞳からは、滝のような涙が次々と零れ落ちていく。
向日葵は、それを拭い取る。が、それでも涙は止まらない。
「日向君は、これからいろんな人と出会って、私の存在なんかちっぽけなものになるかもしれない。それでも、私はずっと天国で待ってる。待ち続ける」
「向日葵…」
余計に、向日葵の涙は増えてく一方で、俺は思わず名前を呼んだが、それでも向日葵は続ける。
「それで、日向君がまたこっちに来たら、今度こそ見つめ合って、一緒に笑いあいながらピアノを弾こう!ね?」
やめてくれ…。そんな、向日葵が先に死んじゃうなんて、それを前提にして、話さないでくれ…。
そう言いたかったけど、言えなかった。
目が痛くなってきた。向日葵の姿がぼやける。
泣くな、日向。泣くんじゃない。
どんなに辛くても、受け取めないと、向日葵まで悲しんでしまう。