十時。ちらほらと出し物を見ながらも、俺は特別クラスまで向日葵を迎えに行ってから、リハーサルが行われる、野外ステージまで行った。
俺達のほかにも、二十人ほど参加者がいるものの、連弾の人は一人もいなく、俺たちは浮いていた。
「えー、本番は五時ごろからの開催予定で、それから順番に、ピアノを弾いてもらいます」
もちろん、この説明をしているのは、小島先生。吹奏楽のリハーサルも、体育館であるというのに、大変なものだ。
とはいっても、小島先生は説明だけで、実際に俺たちの演奏を見るのは、違う先生らしい。
それにしても、大学へのスカウトがかかってるためか、みんな真剣そのもので、ある人なんかは、先生の話は聞かずに、ひたすら指を動かしている人もいる。
一応自由参加だが、皆それなりの実力者だろう。
いつもコンクールに出るみたいに、無駄に緊張してくる。
「それでは、一人ひとりリハーサルに入ってください」
先生の言葉を合図に、野外ステージにあるピアノを、順番に弾いていく。
順番は、くじ引きで決められるのだが、俺たちは唯一の連弾であるため、一番最後。
なので、向日葵のためにも、近くの椅子に座って、ほかの人たちのリハーサルを聴いていた。
トップバッターの三年生の男の人は、少し難しい曲に挑戦しているのか、ところどころつまづいている。