「なにその顔?和仁が私のこと好きって、空川も知ってたらしいじゃない?そんな驚くこと?」
「いや、まあ、そうだけど…。ほら、なんか、急だったから」
まともな言葉が言えず、余計にオドオドしてしまうが、黒西は気にしない様子で、再び口を開いた。
「でも、振っちゃった」
「振…。あ、そっか…」
そっちに関しては、告白された、と教えられた時よりかは驚かなかった。
だって、もしも伊藤が告白して、二人が付き合うことになってたら、必ず俺や水田には報告しているはずだ。
それがないってことは、振ったっていう事。そう思うのが、自然だ。
でも、そこで黒西は立ち上がると、屋上に続くドアに顔を向けた。
「正確には、少し待ってって言ったんだけどね」
「待って?なんで?」
すると、黒西はこっちを振り返る。切なげに、小さく口角を上げて笑っていた。
「好きな人に振られたから、感情を整理するまでは待ってって言ったの」
俺は、唾を飲みこんだ。