「どんな感じ?」
 

向日葵が、横から聞いてくる。
 

「結構、色んな種類がある。これだったら、たぶんピアノもあると思うぞ」
 
「そっか。よし、日向君。探して!」 
 
「はいはい」
 

俺は生返事をすると、色んな商品を見て回る。

向日葵は、俺の足音で俺がどこに行くのか分かっているのか、勝手についてきてくれた。
 

しばらく見ていると、やがてバイオリンの置物を見つけた。
 

もしかしたら、ここが楽器のコーナーかもしれない。
 

案の定、駆け寄ってみると、確かにそこには、ピアノの置物がたくさん置かれていた。

それも、一つだけじゃなく、何種類も。
 

「向日葵、あったぞ。ピアノの置物」
 

俺の言葉に、向日葵も早足で駆け寄ってきた。
 

「ほんと?どんなのがある?」
 
「いっぱいある。ガラスでできたのとか、動物が弾いてるやつとか、あと木で出来てるのも」
 

すると、向日葵は「木で出来てるやつ頂戴」と言って、手を出してきた。
 

俺が渡すと、向日葵はそれを両手で触りながらニコニコしている。
 

「ほんとだ。ピアノの形してる」
 

「それがいいのか?」
 

向日葵の心底喜んでる様子に、俺が微笑ましく思いながら聞くと、向日葵は頷いた。
 






「うん。木だったら、死んだとき一緒に燃やしてくれるでしょ?」