「あとは、メトロノーム?譜面台とかもいいな」
 
「そんなものおそろいにして、どうすんのー?」
 

向日葵がまた、白杖で俺の足を叩く。でも、俺たちは笑いあった。
 

大きな笑い声だったと思うし、周りの人も見てると思う。それでも、もう構わない。
 

しばらく笑っていると、ふとある店が目に入った。上には、『置物雑貨店』と書かれていた。
 

あ、もしかしたら…。
 

「なあ、向日葵。すぐそこに、置物の店があるんだけど、もしかしたらピアノの置物とか売ってるかも」
 

「お、ナイスジョブだよ日向君!よし、早速行きますか」
 

向日葵はそう言って、俺たちの前にあるお店なのに、全然違う右に行こうとした。
 

「違うよ、向日葵。雑貨店は前」
 

俺は、慌てて向日葵の腕をつかんだ。
 

ドキッ
 

また、心臓が跳ね上がった。
 

ああ、ダメだ。何かを言われるのは慣れたけど、自分から向日葵に触ったのなんて、数えるほどしかないんだし、まだ心臓がバクバクする。
 

「ああ、ごめん。こっち?」
 

ところが、向日葵は何にも動揺していない。俺の想いが、一方的だっていう証拠だろうか。
 

俺は、少し虚しく思いながらも、「ああ」と言いながら、向日葵と一緒にお店に入った。
 

中は、本当に置物店らしく、いろんな種類のものが売っていた。
 

木の置物や、サンタクロースの置物。とにかく、マイナーなものもいっぱい売っている。