ようやく知る、君のすべて





翌日。土曜日。
 

俺は、朝ご飯を食べ終わると、午前十時になったのを確認し、家を出た。

外は、俺の今の状況を表すように、あたり一面曇り空だった。
 

母さんに、「向日葵の家に行ってくる」と言ったら、母さんは「いってらっしゃい」と、何でもない事のように返してくれた。
 

たぶん、俺の気持ちを全て悟してくれたんだろう。
 


母さんなんて、ただ自分のプライドのために、子供を使っている。

そう思っていたが、最近は、母さんはちゃんと俺の事を考えている、と思えるようになってきた。
 

向日葵の家までの道のりを、慣れた足取りで歩く。

緊張していない、と言えば嘘だが、それほど緊張しているわけではなかった。
 

『あなたの向日葵さんに対する気持ちは、そんなちっぽけなものだったの?』
 

そんな訳ない。そんな、ちっぽけなものなわけがない。
 

何を諦めていたんだ。何を弱気になっていたんだ。
 

失って、俺の向日葵に対する思いに気づいた。
 

俺は、向日葵のためなら、どんなことだってできる。

向日葵のために死ねと言われたら、俺は死ぬことだってできるかもしれない。
 

足が速くなる。走り出してしまった。


いくらだって謝る。何でもする。
 

その言葉だけが、俺の心の中で何度も繰り返し叫ばれた。
 

ただの変態じゃないか。何回もそう思ってしまう。