どんなに拒まれたって、自分の想いを伝えたい。
気持ち悪いって言われるかもしれないけど、それでも俺は、このまま諦めるなんてできない。
最初、この学校に来て、向日葵と出会った時とは、大違いだ。
あの頃は、人と話すのも苦手で、ましてや誰かのためを想う、なんて人じゃなかった。
向日葵だから。相手が向日葵だから、俺はここまで変われたんだ。
向日葵の家の前に着く。レンガ造りの大きな家の門前にある、チャイムを押した。
『はーい。どちらさまですか?』
向日葵じゃない。もっと大人っぽい、向日葵のお母さんの声だった。
「あの、俺、日向ですけど。向日葵さんと話がしたくて」
すると、突然機械越しの声が、無言になる。
向日葵のお母さんも、もしかしたら俺たちが喧嘩をしてることを、知っているんじゃないだろうか。
「俺、何百回だって謝りますから!今度こそ、向日葵さんに優しく寄り添えるように、頑張りますから!」
無我夢中で、自分の気持ちをぶつけた。それでも、無言の状態は続く。
やがて、ガタンと機械音がしたと思ったら、息を吸う音が聞こえた。
『…向日葵は、もうあなたと口も聞きたくないって言ってるわ。だから…』
「分かってます。だから謝りたいんです!」
俺が必死でチャイムに叫ぶと、『ごめんね』という、向日葵のお母さんの声が聞こえてきた。
その重苦しいトーンに、「え?」と俺も返す。