「あの、できるだけ明るくしゃべるようにするから、変に誤解はしないでくれるか?」
 

俺が勇気を振り絞ってそう敬語なしで告げると、三人は力強く頷いた。
 

三人の優しい態度にほっとすると、
 

「じゃあ、俺そろそろ行くわ。部活あるし」
 

伊藤が手を上げて、そう言った。
 

「え?部活って、こんな早くからあるのか?」
 

俺が問いかけると、伊藤は頷く。
 

「ああ。俺の場合は美術部だし、道具とかがあれば、時間は関係ないんだよ」
 

美術部か。意外だ。伊藤の印象からして、絶対に運動系の部活だと思っていた。
 

「これがまた似合わずうまいのよ。空川も見たら、たぶん仰天するわよ」
 

黒西の、褒めてるのに皮肉を言ってるような口調に、伊藤は頬を膨らませる。
 

「お前なぁ、いちいち言葉のチョイスが残酷なんだよ」
 
「悪うございましたね、きつい女で」