「…なんだか、すっかり長居して申し訳ありませんでした」 「いいのよ、そんなのべつに。こちらこそ、いつも二人だったから楽しかったわ」 向日葵のお母さんの優しい言葉に、俺は頭をぺこぺこ下げることしかできない。 「じゃあね、日向君」 「ああ、じゃあな」 向日葵にそう言われて、言葉では返すが手は振らなかった。一種の、慣れを感じた。 俺は、もう一度頭を下げると、向日葵の家を後にした。