思わず、心の中にあった疑問を向日葵に聞いてしまった。
失礼なことを聞いてしまったかなと思ったが、向日葵はさして気にしてないように頷く。
「うん。触った感触とかでね。ほら、ご飯の茶碗は陶器でひんやりしてるし、お味噌汁はガラがついてるからデコボコしてるでしょ?」
俺は目を瞑って、お椀を触ってみた。
確かにご飯の茶碗はひんやりしてるけど、目が見えない状態で持ち上げるのは、少し怖かった。
「まあ、どんなものも練習なのよ」
向日葵のお母さんが、くすっと笑ってそう言った。
練習、か。そうだよな、俺だって最初ピアノを触ったときは、両手で曲を弾けるようになるのが、夢のまた夢だったけど、今では楽譜を見たら一発で弾けるくらいに成長してるんだもんな。
「ねえ、お母さん、唐揚げってどこ?」
向日葵がそう言って、箸を持った手を、四方八方に動かす。
すると、向日葵のお母さんは向日葵の腕をつかんで、唐揚げの入った皿に近づける。
「ほらほら、ここよ」
「ね、どれが一番大きいの?」
「どれもおんなじ大きさです。お客さん来てるんだから、あんまりがめつい所を見せないの」
二人は笑いあいながら、楽しそうにそんな会話をしていた。
毎日こういう食べ方をしてるのかな?