「え?あらあ、また当てられちゃったわねぇ。そうよ、今日は唐揚げ」
「やった!」
え?唐揚げ?
俺も慌てて匂いを嗅いでみるが、何も匂わない。
そっか。やっぱり嗅覚も、向日葵は人並み外れているのか…。
向日葵はそのまま立ち上がると、俺の腕をつかんで引っ張る。
「ほら、日向君、早く行こ!」
「え?あ、ああ…」
ほんと、こんなことまで、子供みたいに単純なんだなぁ…。
微笑ましい向日葵に、腕を引っ張られて、食卓らしき机の椅子に、腰を下ろした。
すると、そこにはやっぱり、湯気を立てていかにも出来立てな唐揚げが、並べられている。
俺の手前には、味噌汁とご飯があり、なんだか夜ご飯みたいに豪華だな、と少し食べるのに遠慮が生まれた。
「ささ、食べましょ」
相変わらず笑顔を絶やさない向日葵のお母さんに、俺は目を合ってないが、一応頭を下げる。
「それじゃ、いただきます」
「いたたきまーす!」
「い、いただきます…」
あれ?そういえば、向日葵は食事できるのか…?
すると、向日葵はお米の入った茶碗を両手で触ると、持ち上げて、箸を使って食べ始めた。
「…わかるのか?それぞれなんの料理なのかとか?」