思わず絶句してしまった。
 

広大な敷地に、三階建てのレンガで作られた大きな建物が立っていたから。
 

こ、ここが、向日葵の家…。大きい…。
 

「日向君の家は、どこなの?」
 
「え?えっと、もうちょっと行ったところを右に曲がって、すぐのところ、かな」
 
「へえ、じゃあ近いね!」
 
「あ、ああ…」
 

驚愕で、まともな会話が成立しない。
 

しかし、向日葵はそんな俺に気づかず、手を振るとそのまま中に入っていった。
 

俺は、誰もいなくなった道の真ん中で、ふっと息をついた。
 

今日はいろんなことがあった。
 

でも、嫌なことだってあったはずなのに、俺は今、とっても幸せだった。
 

向日葵の明るさを見ていると、嫌な事全部忘れられる。


いや、違う。向日葵といると、嫌なことが全部嬉しい事に変わるんだ。
 

まだ、向日葵と出会って二日しか出会っていないのに…。
 

俺は、向日葵の家を見つめた。
 

君の存在が、俺の心の中で、こんなにも大きくなっていくよ。