まるで、目が見えてるみたいに、思いっきり俺を指さした。
「日向君の音色に感情を入れて、君自身がピアノを好きだと思えれば、それでいいんだよ!」
「それができないから、苦労しているんじゃないか!」
「それができるように、今私が頑張ってるんだよ!」
俺が向日葵に駆け寄りながら叫んでも、言い返してくる。
「そうすれば、日向君の音色は素晴らしいものになるし、日向君の悩みも解決する。一石二鳥じゃん」
向日葵は、無邪気に笑った。
「そしたらさ、日向君、すごいピアニストになるよね?世界で演奏しまくって、じゃんじゃんお金を稼いでさ!」
あまりにも突拍子もない夢を見ている向日葵に、呆れながらも嬉しくなった。
「…できるかな?俺に」
「え?もう出来てたよ?今日の音色が、その証拠じゃない」
向日葵は、俺の腕を指で突っついた。