「ミオって……今のもほんと、反則」

「え?」

「ううん、こっちの話……。そろそろ、帰ろうか。……家まで送るよ」


そう言ったユウリくんの後を追って、私は砂浜を歩き出した。

前を行く広い背中は逞しくて、改めてユウリくんが男の子であることを意識させる。

……ああ、そうだ。

たった今、またユウリくんに抱きしめられたんだ……なんて。

つい、そんなことを考えたら、なんだかまた胸がドキドキして……どうしてかすごく、落ち着かなくなって……。


「ミオ? 大丈夫?」

「……っ、だ、大丈夫!!」


何! 何を変なことを思い出してるの、 私……!

ドキドキとうるさい心臓は、もう私のものではないみたいだ。

思わずブンブンと顔を左右に振ってみたけれど、抱きしめられた温もりもユウリくんの声も、身体に残って離れない。