「……変なことなんかじゃない。今までミオが一人で抱えてた、苦しみだろ」


耳に触れたのは、とても、とても優しい声だった。

もしかして、もしかしなくとも……私はまた、ユウリくんに抱きしめられてるの?

だけど今度は、とても挨拶とは思えない。

まるで大切なものを包み込むように、ユウリくんは私を強く抱き締めた。


「話してくれて、ありがとう。聞けてよかった」

「ユウリ、くん……」

「だけど、これだけは言わせてほしい。ミオは今のままで十分可愛いし、優しくて良い子だよ。だから、自分を他の誰かと比べる必要なんてない」


優しい言葉は、意図も簡単に私の涙腺を刺激する。


「ミオはお姉さんのオマケなんかじゃないし、誰かの代わりでもない。ミオは、ミオなんだ。俺がこうして抱きしめたいと思う相手も……今ここにいる、ミオだけだよ」


そう言って、ゆっくりと身体を離したユウリくんは、固く握られたままだった私の手を取った。


「完璧に磨かれた宝石よりも、俺はこっちのありのままで綺麗なシーグラスのほうが好き」

「ユウリ、くん……?」

「他の誰がなんと言おうと、俺にはミオ以上に可愛いと思える女の子なんていないし、この先もそれは絶対に、変わらない」


心臓の音は、ユウリくんにも聞こえてしまうんじゃないかというくらい高鳴っていた。

重なり合う手は小さく震えて、身体は沸騰したように熱かった。

やっぱり……なんだか変だ。

こんなにドキドキして落ち着かないなんて、私は何か悪いものでも食べたのかな。