「中学生のときにもね、友達だと思ってた男の子が、実はお姉ちゃん目当てで私に近づいてきてたってことがあって……。そのとき、その男の子にも言われたの。"お前なんて愛美さんのオマケのくせに"……って。だから多分この先も……お姉ちゃんが磨かれた宝石だとしたら、私はこの不格好な、シーグラスのままなんだと思う……」


吐き出した息は震えて、声も濡れた。

思わずユウリくんから貰ったシーグラスを握りしめてその場にうずくまると、潮風が髪先を静かに揺らした。

今もまだ、耳にこびりついている低い声。

氷のように冷ややかで鋭い視線には、批難と拒絶が含まれていた。


「えへへ……っ。ごめんね、変なこと聞かせて。せっかく海に連れてきてもらったのに、こんな話、聞きたくなかったよね──」


けれど、そこまで言って顔を上げようとしたとき、不意に身体が温かな体温に包まれた。


「ユウリ……くん?」

「……っ、」


突然のことに驚き固まると、頬にユウリくんの黒髪が優しく触れる。

──何、これ。一体、何が起きてるの?

困惑で、心が揺れる。

だけど私は、この力強い温もりに覚えがあった。