子供の頃はこれを宝石みたいだなんて思ったけれど、今ではこれが宝石とは程遠いものだと知っている。

そう考えると、ああ……なんだか私みたいだな、なんて。

そんなふうに考えたら、思わず自嘲の笑みが零れていた。


「……ミオ?」


誰が見ても美少女で、非の打ち所のないお姉ちゃんが綺麗な宝石だとしたら、私はこの不格好なシーグラスなんだろう。

決して宝物にはなれない、どこにでもある小さな小さなガラスの欠片。


「……この間、ユウリくんとテレビ電話したときに、私にはお姉ちゃんがいるって話したの、覚えてる?」


唐突に、ぽつり、ぽつりと話しだした私の言葉に、ユウリくんが一瞬息を呑んだのがわかった。


「え……、ああ、うん。すごく可愛い人だって……ミオ、言ってたよね?」


戸惑いがちに言うユウリくんを前に、私は小さく笑ってみせた。


「うん、そう。私のお姉ちゃんはすごく可愛くて、天使みたいで……。誰が見ても完璧な女の子なの。本当に……まるで、少女漫画や恋愛小説の主人公みたいな女の子で……完璧な、女の子なんだ」


フワフワとした栗色の髪と、黒目がちでパッチリとした大きな目。

長いまつ毛と、ピンク色の頬、淡い赤が差した小さな唇。

雪のように真っ白な肌と、思わず抱きしめたくなる華奢な身体……。

まるで、【美少女】のお手本みたいな人が、生まれたときからずっと、私のお姉ちゃんだった。