「……懐かしいなぁ」


思わずポツリと呟くと、ユウリくんの目がこちらを向いた。

長いまつげには光の粒が乗っていて、眩しくて自然と目を細めてしまう。


「これ、ミオにあげる」

「え?」

「少しでもミオが元気になりますようにって、願いも込めとく」


と、不意にそう言ったユウリくんは私の手を取って、開いた手のひらの上にシーグラスを乗せた。

ひんやりと冷たいそれはほんの少し湿っていて、表面にはザラザラとした細かい砂がついている。


「って言っても、こんなもので元気になれたら苦労しないよな……」


碧い海を背景に、ユウリくんがほんの少し切なげに笑った。

その笑顔を見たら何故か胸がギュッと締め付けられて、喉の奥がヒリヒリとした熱を持って、苦しくなった。


「……ううん、そんなことない。ありがとう」


すぅ、と息を吐くと、ユウリくんはハッとしてから私を見る。

手のひらの上で、キラキラと輝くシーグラス。

丸でも四角でもない不格好な形で、表面は細かい傷がいくつもついて、スモークがかかっている。