「ミオと一緒に服見たりとか、楽しそうだし。あ……そしたら、次のレッスンの自分磨きってやつもできたよな。ごめん、俺に勇気がなくて、誘えなくて」


そのユウリくんの言葉に、嘘はないように思えた。

ユウリくんは本当に……私と寄り道をしたかったと思ってくれたの?


「……っていうか、さ。俺の勘違いだったらいいんだけど、なんか今日、ミオ、元気ない?」

「え……?」

「いや……なんか、いつもと少し違う感じがしたから」


そのとき、ハンドルに腕を乗せたユウリくんが私の顔を覗き込んだ。

サラリと流れた前髪が光に透けて、またドクリと心臓が飛び跳ねる。


「もしかして、何か嫌なことでもあった?」


春風みたいに優しい声だった。

真っすぐな瞳が心配そうにこちらを見ていて、思わず鼻の奥がツンと痛んだ。


「何も……ない、よ?」

「……ほんとに?」

「うん……。ほんとに、何もないから大丈夫」


ほんの少し、声が震えた。

ユウリくんを真っすぐに見られなくなった私は、咄嗟にまつ毛を伏せて視線を逸した。