「あ、そっか。じゃあ、ミオの用事って服を買いに……」
「ち! 違うの……!」
「え?」
「ご、ごめんね、服じゃなくて、その……ぜ、全然、そういうんじゃなくて……」
必死に言い訳を探してみたものの、内容はしどろもどろになってしまった。
そもそも私は、ユウリくんと出掛けるときに着る服を買いに来たんだ。
もしもそれをユウリくんに知られてしまったら、変に張り切っていると思われるかもしれない。
ユウリくんはただ、テストの打ち上げのつもりで遊びに行かないかと誘ってくれただけなのに……。
一人だけ浮かれて、新しい服まで買おうとしていたと知られたら、さっきのお姉ちゃんの友達たちみたいに、引かれちゃうかもしれない。
「あの……私、ほんとに……」
だけど、もうどう取り繕えばいいのかもわからなかった。
また、今すぐここから逃げ出したい気持ちに駆られて、思わずスカートの裾をギュッと握り締める。
「……なんだ。それなら思い切って、一緒に帰ろうって声掛ければよかった」
「え……?」
「そしたら一緒に寄り道できたし、もっと早くミオと会えたのに、勿体無いことした気分」
そのとき、不意にそう言ったユウリくんの言葉に驚いた私は、俯いていた顔を上げた。
見るとユウリくんは照れたように頬をかいていて、鼓動がドクンと大きく跳ねる。