「っ、はぁ……。バカみたい……」
頬は熱いのに、やっぱり指先だけが冷たい。
ビルを出て、バス停のすぐそばで足を止めた私は一人、乾いた笑みを零した。
……ああ、私、何をやってるんだろう。
そもそも、あんなにオシャレで可愛い服、私に似合うはずがないのに。
オシャレな服も可愛い服も、昔から似合うのは全部、お姉ちゃんだった。
私には、可愛いフリルもスカートも、全部、全部、不釣り合いだ。
「あれ……ミオ?」
そのとき、俯いたまま歩きだそうとした私を、凛とした声が呼び止めた。
ハッとして顔を上げれば、何故かそこにはユウリくんがいて──思わず目を見開いて、固まってしまう。
「ユ、ユウリくん?」
「ここで何してるの?」
声が重なった。
ユウリくんは制服姿で自転車に跨っていて、私と同じように驚いた様子でこちらを見ている。