「あ、ねぇ見て、この服も愛美に似合いそうだよ!」


そのとき、お姉ちゃんの友達の一人がマネキンの着ている服を指差した。

まさか……という嫌な予感は見事に的中してしまう。

それはまさに今、私が着たいと思っていた服で、思わず身体が冷たくなって凍りつく。


「え? そうかなぁ?」

「似合うよー! この首元のフリルとか、短すぎないスカートも、清楚〜って感じで愛美にピッタリ!」

「これ着たら、また天使みたい〜って言う愛美のファンが増えるんじゃないのぉ?」

「もう。やめてよ、そうやってすぐ、からかうの」

「だってぇー、本当のことなんだから仕方ないじゃん。ねぇ、妹ちゃんも、そう思うよね──って、あれ?」


その瞬間、ドキリとした。

同時に、背中を嫌な汗が伝い落ちる。

お姉ちゃんの友達の目は私が持っている服を見つけて止まったあと、すぐに私の顔色を伺うように僅かに動いた。


「あれ? もしかして妹ちゃん、これ買おうとしてたの?」


そう言う彼女の目は、「まさか違うよね?」と言っているみたいだった。

まさか、こんなに可愛い服が自分に似合うとでも思ってるの?と、聞かれているようで……。

私は慌てて取ったばかりの服を元の場所へと戻すと、改めてお姉ちゃんたちに向き直った。