「……これも、モデルさんが着てるから可愛く見えるだけだよね」
店先に開かれていた雑誌の一ページを眺めながら、思わず独り言をつぶやいた。
【このお店の服が紹介されました!】と書かれたページを見てみたけれど、ふりふりのプリーツスカートは、私には到底似合いそうもなかった。
ああ……そうだ。
きっと、こういうのもお姉ちゃんなら似合うんだろうな。
そういえば、先週出掛けるときにもお姉ちゃんはこんな感じの服を着てたっけ。
いってきます、と言って笑顔で出掛けていくお姉ちゃんは、すごく可愛くて、素敵だった。
「はぁ……」
もう何度目かもわからない溜め息をついた私は、つい視線を足元に落としてしまう。
……やっぱりダメだ。
こんなふうに一人で悩むより、オシャレなたっちゃんにアドバイスをお願いしたほうが早い気がする。
考えれば考えるほどそれが正解なような気がして、私は到頭その場で回れ右をした。
「あ……」
と、そのとき、ふと向かいのお店に目が止まった。
正確に言うとお店の奥にディスプレイされている、真っ白なシフォンブラウスに目を引かれたのだ。
あれ……可愛い、かも。
そう思い、思わず近くに寄った私は、改めてブラウスを眺めた。
スタンドネックになっているところは控えめだけどフリルになっていて、とても可愛いらしい。
一緒にコーディネートされているブラウンチェック柄のスカートも甘すぎず、いい感じだ。
ハイウエストの膝上丈が短すぎないからちょうどよくて、トップスのブラウスと合わせると、とてもバランスが良く見えた。