いつもよりも濃いめのチークを頬に乗せたたっちゃんは、とても可愛らしく笑ってみせた。

恋に恋してばかりじゃなくて、自分磨きを……。

そういえば、次のレッスン内容も、そうだった。

【素敵な恋のための自分磨きをしよう!】

まるで参考にならない例文には、【自分が得意なピアノ曲を弾いて相手をメロメロに…!? 恋を成就させるには、自分磨きも大切☆】なんて書いてあったけど、それなりに一理あるということなのかな。


「まぁ、全然ダメそうなら、またそのときには相談に乗ってあげる。僕が美織に合う服を選んであげるよ」


星を飛ばすみたいに可愛らしくウインクしたたっちゃんの今日の瞳の色は、宝石みたいなゴールドだった。

何故ゴールドなのかというと、今朝の占いで言われたラッキーカラーが金色だったからということらしい。

そういえば、私も今朝の星座占いでは、珍しく第一位だった。

偶然にもラッキーアイテムは、『新しい服』で……。


「わ、わかった。私、頑張ってみる……!」


グッと拳を握って覚悟を決めると、たっちゃんはニッコリと嬉しそうに微笑んでくれた。

今回のレッスンは、自分磨きをすること……。

恋を叶えるためではないけれど、恋を知るためにもまずは自分磨きをしてみよう。


 ✽ ✽ ✽


「な、なんか、迷子になった気分……」


放課後、早速電車に乗って、この辺りで一番大きなステーションビルに立ち寄った私は、一人で洋服屋さんを見て回った。

背の高いマネキンが着ている服を眺めてみたり、購入しやすいセールの服を見てみたけれど……。

うう……ダメだ……。

そもそも、流行りの服がどんなものなのか、よくわからない。

というより、自分にどんな服が合うのか、私にはサッパリポッキリわからないんだ。