あれから、3年が経った。


 マカライトの国の人々は、みんな青草の刻印になった。シュリと水音の願いは叶ったのだ。
 あの日倒れてしまった水音は、しっかりと傷口を治療してもらいすぐに元気になった。
 レイトはしばらく気にしていたようだったけれど、水音が普段通りに接するうちに少しずつ彼も気にしなくなっていた。


 レイトは、今までやって来たことを償いたいとマカライトの国を良くしたいと、いろいろな人たちとルールを決めるグループに入っていた。
 上手くいかないこともあるみたいだけど、水音に下の世界の話を聞きながら頑張ってくれている。

 そして、シュリはというと、白騎士を始めたのだ。怖いイメージが強くなっていたけれど、元の世界の警察のようなもので、ルールを守らない人や、ケンカの仲裁などをやっていた。
 今のところ平和なことが多いので、新しく入った後輩たちに、戦い方を教えるのが最近の仕事のようだった。



 そして、シュリと水音のは湖の近くに小さな家を作って、二人で暮らしていた。
 まだまだ、混乱が多い世界ではあったけれど、自分達が作り上げていける国が3人は大好きになってきた。



 「さーて。何を食べたいかなって……何やってるの?」

 
 家について、すぐに玄関で後ろからシュリに抱き締められた。そして、片手が水音の服の中に、ゆっくりと入っている。


 「お前が食べたいと思って。」
 「昼間から、何してるのよー!」
 「……水音は俺に食べられたくない?」
 「…食べられたいけど……」


 水音は、シュリと一緒に暮らしてわかったことがある。それは、彼は甘えたな性格であり、そして、そんな彼に自分は弱いという事だ。


 「じゃあいいだろ。」
 「ここで……!?」
 「ベットに行くのが面倒だ。」


 そういうと、シュリは獣のように目を光らせて。そして水音を激しく求めた。
 
 そんな彼を愛しく思い、そして、彼を強く感じたいと、水音はシュリに「もっと」と、おねだりをしてしまうのだった。



 

 気だるさを感じながらベットに横になる。
 隣には愛しい人。

 この世界を変えてしまったのは、自分なのだと思うと、責任という大きな重りが水音を襲った。
 けれども、シュリやレイトが助けてくれた。そして、それを見てシュリやレイトを助けようとしてくれる人も出てきた。

 そうやっているうちに、マカライトの国はゆっくりといい国に変わっていっていると、水音は自信をもっていた。


 「雪、エニシさん、そして、お母さん。しっかり見ててね。私、ずっとここで生きていくから。」
 「…………なんだ?何か言ったか?」


 うとうとしていた、シュリが水音を、ぎゅーっと抱き締めながらそう聞いてきた。

 水音は「何でもない。」と笑顔で返事をして、彼に抱きついた。

 シュリがまた強く抱き締め返してくれる。
 彼の熱と、彼の香り、彼の鼓動を感じながら、マカライトの国の綺麗な空を窓から眺める。
 
 そこには、3匹の白い鳥が仲良く飛んでいる。
 それを見つけて、水音はにっこりと微笑んだのだった。




                  (完)