「沙織、沙織、おーい、沙織ちゃーん。」
っん、、、この声は、、。
私はこの声で目が覚めた。

私は目を擦りながら窓の外を見た。
やっぱり。
そこにいたのは幼馴染の渉だった。

私の家と渉の家は隣同士で距離も近かったため、窓を開けるだけでお互いの部屋から話す事が出来た。

「なに、朝から近所迷惑。」
「なんだよ、寝起きだからって八つ当たりはダメだよ?沙織ちゃん。」

私は渉が話しているのを無視して窓を閉めた。
そして、私は学校に行く準備をして約束の時間に家を出た。

家を出ると渉が待っていた。

「おはよ。」
「ん、おはよ。」

私たちは小学生のころから毎日一緒に学校に行っていた。

「機嫌はどうですか?沙織ちゃん?」
「沙織ちゃん。って、キモいんだけど。」
「あー、怖い怖い。」
「はいはい」

私たちの家からは学校は近く徒歩でも10分もかからない。

学校に着くと私と渉は正門に立っていた先生に挨拶をした。
「おはようございます。」
「おはよう。二年になっても仲良いな、お前ら。」
「どうも」

渉はそう笑いながら先生に言うと、私の方を振り返り「行くぞ」そう言って歩き出した。

私たちは靴箱に靴を置いてクラス表を見に行った。

「沙織?ここに名前あるぞ。」

私はそう言われて渉の場所に向かった。
「あっ、ほんとだ。渉は?」
「んー。あった。同じクラスだ。」

また、渉と同じクラスか、、よかった。
私は心の中で舞い上がっていた。

でも私みたいに心の中で喜んでいる人よりも、声に出して喜んでいる人の方が多いかのように、渉と同じクラスだと喜んでいる女子はすぐに渉を囲んでキャーキャー騒いでいた。

「渉?先行ってるよ。」
「おう」

私は渉に声をかけて教室に向かった。

渉はいつも女子に囲まれている。
それでも渉は嫌な顔なんかしない。
いつも笑顔で喋ってる。
少しは嫌な顔ぐらいしてほしい。

でも、私はそれを渉に伝えようとは思わなかった。

私は渉に好きだとバレないように強がっていた。

教室に着くと同じクラスの男子が話しかけてきた。
「おはよう、沙織ちゃん。」
「うん、おはよー」
「これからよろしくな!」
「よろしく」
それだけ言うとまた男子の集団に戻ってまた騒ぎ始めた。

それから集団の中からひとりづつ順番に話しかけてきた。

みんなで話しかければいいのに。
そんなことを思っていると。

「きゃー!やっと来た!!」
その声でみんなが振き騒ぎだした。

私は振り向かずにさっき話していた男子に話しかけた。
「これからよろしくね」
「うん!沙織ちゃんよろしく」
「沙織でいいよ?」

私がそう言うと頭の上にトンと手が置かれた。
「沙織って呼んでいいのは俺だけ。」

私が上を向いた。
やっぱり。
そこにいたのは渉だった。

「なに、いきなり話しに入ってこないでよ。」
「お前が先行くからだろ」
「先行くって言ったじゃん。」
「今日も一緒帰るぞ。」
「うん。」

それだけ言うとすぐひとりで教室を出て行った。

そしてその後ろを何人かの女子が追いかけて行った。